負担になりやすい階段の上り下り
身体が不自由になると、毎日階段を上り下りするのは大きな負担になります。これは本人だけではなく、介助する側としてもかなりの負担を強いられるのが問題です。階段は1回や2回ではなく、日々の生活の中において幾度も使用するものなので、お願いするほうもつらくなれば、自由を奪われてしまいます。両者にとって悲しいできごとにつながるため、対策をとらなければいけません。そのために有効なのが階段昇降機で、居住スペースが2階や3階になる場合でも利用できます。
便利な設備ですが、よく比較されるのは家庭用エレベーターです。どちらも移動手段として家庭内に設置して使えて、有効な働きをするのは同じです。しかし、実際に取り付けるとなると、大きな違いが表れます。
家庭用エレベーターの場合、建築時に設計が盛り込まれていれば取り付けも難しくありませんが、後付けとなるとそうはいきません。重量がかかることから、強度設計をやり直す必要があります。エレベーターシャフトを通すための場所も確保しなければならず、大規模なリフォームをして初めて取り付けられるのが一般的です。場所によっては後付けできない可能性も出てきます。単一の強度だけでは済まず、家や基礎の強度不足により、施工不可能になるケースもあるためです。これが階段昇降機ではほぼ必要ありません。
家庭用エレベーターの取り付けは、基礎まで変更となれば、申請を出さなければいけないほどの工事になります。設置した後に東京でも保守点検や法定点検が必要になりますが、階段昇降機はこうした費用が抑えられるところが注目すべき点です。
コストを抑え取り付けられるメリット
階段昇降機は家庭用エレベーターとは違い、より簡易な設備として取り付けられる特徴があります。軽量であり、そこまで荷重をかけないため、建物の強度を家庭用エレベーターほど必要としません。取り付け時にも大幅な強度が必要なわけではないため、費用を抑えられます。
階段の壁の部分にレールを取り付けていくのが階段昇降機です。東京でも活用が進んでいますが、レールの部分に椅子が取り付けられており、これに乗って移動します。車いすごと設置できるタイプもあり、かなりの自由度が期待できる方法です。後付けすることも難しくなく、間取りの変更も不要です。工事自体も1日あれば終了するほど簡易であり、家庭用エレベーターのようにたくさんの費用をかけずに済みます。維持費があまりかからないところもメリットです。
海外の製品が中心となりますが、コンパクトにまとめられたものが多く、日本の家庭でも十分に使えるものが存在します。特に直線だけで済ませられるタイプは、既製品で対応できる場合も多く、工事も素早くできて費用も抑えられるのが特徴です。踊り場があったりする状況では、曲線部分を作らなければならず、レールをオーダーするケースも増えるため費用がかかりますが、それでも家庭用エレベーターに比較すれば大幅にコストを抑えられます。移動速度もゆっくりで、乗ってみても恐怖を覚えるようなものではありません。
足腰が悪くなると1階での生活を余儀なくされる場合もあります。この階段昇降機があれば、介助する側も含め、苦痛をやわらげられます。手すりなどを付けても、足腰が悪くなればつらい思いをする以上、大きな役割を果たすようになってきました。
助成金は自治体次第
階段昇降機を取り付けるときに、助成金を受けられる場合があります。東京でも各自治体に確認が必要ですが、受けられるのであれば設置に関する費用を大幅に軽減できるでしょう。注意しなければならないのは、介護保険は適用されない点です。各自治体の福祉課に連絡すると、設置に関しての助成金があるかどうかが分かります。
助成金は申請したのちに調査が入ります。調査した状況によって申請が通るかどうかが決まりますが、相談した段階である程度予想はつきます。事前にメーカーにも相談し確認しておくと、さらに結果ははっきりするでしょう。図面や形状は、この申請に沿ったものにする必要があり、問題がなければ工事に着手します。工事が完了したら、自治体が再び調査に入り、申請内容と相違がないかどうか調べられます。
助成金は各自治体で取り決められているため、必ず使えるものとは限りません。障がい者だけを対象にしている地域もあり、高齢者介護には使えないケースもあります。金額もさまざまで、いくら助成してくれるのかも決まりがあるわけではないため、確認してみることが大切です。
階段昇降機は家庭用エレベーターより費用がかかりませんし、維持も難しくありませんが、細かなニーズに応えてもらえるかどうかという点を考えておく必要があります。特に酸素ボンベなどが置けるかどうかなど、実際の利用に関わる問題も出てきます。設置会社とよく相談して、カスタマイズはどこまで対応してもらえるのかも確認しておくといいでしょう。