写真:森

乗ったまま階段の上り下りができる車いす用階段昇降機

超高齢社会には無くてはならない車いす用階段昇降機

65歳以上の方が21%以上を占めるようになると、超高齢社会と呼ぶようになります。日本では、すでに2007年には超高齢社会に突入したともいわれています。そのため今後は今まで以上に、高齢者が住みやすい社会や住宅が求められます。
家の中には、部屋ごとに段差が数多くあります。段差があると、足元が不安定な高齢者は転倒してしまう危険性が高いです。その上高齢になると、骨折箇所が治りにくいという問題があります。そのため一度転倒すると、寝たきりになってしまうという恐れもあります。
そうしたことから近頃では、リフォームする際にはバリアフリー住宅にしておくというのが広く勧められるようになりました。バリアフリーは、足元の段差が無くなるので高齢者がつまずいて転ぶという心配が少なくなります。また、バリアフリー住宅では車いすに乗ったまま家の中を容易に移動することもできます。
バリアフリーと同様に設置件数が徐々に増えているのが、車いすに乗ったまま階段の上り下りができるという車いす用階段昇降機です。ただし、この車いす用階段昇降機の場合、まだまだ知名度が低いというのが現状です。中には車いすに乗ったまま2階に行くためには、エレベーターを設置しないといけないと思っている方もいます。ところが車いす用階段昇降機があれば、大掛かりなエレベーターを設置する必要もありません。もちろん多少の工事は必要ですが、ほとんどのケースで、現在ある階段に増設工事をするだけで設置できます。

車いす用階段昇降機のメリットについて

加齢と共に足腰が弱くなるというだけでなく、ヒザが痛いという方も増えています。とりわけ階段の上り下りをする際にヒザが痛くなると、若い頃のように軽快に階段の行き来ができなくなります。さらに都会のように狭い敷地に家が建っていたり防犯上の理由から、1階がリビングやキッチンで2階が寝室という間取りも多いです。そうなると、毎日寝たり起きたりする際に階段を使わないといけませんが、高齢になると階段が利用しづらくなります。そうしたこともあって、階段を上り下りする際に便利な車いす用階段昇降機が注目されています。
車いす用階段昇降機の場合、設置可能場所の幅広さから大幅なリフォームを必要としないので、リフォーム費用が高額になることはまれです。家の構造上エレベーターの設置が難しいというお家もあるでしょう。どのような事情を抱えているお家であっても、手軽に取り付けることが可能なのが車いす用階段昇降機で、手軽さゆえに工事期間が短いのも特徴です。
訪問介護を利用されているご家庭では、そうした設備があると介護者の労力が随分と省けます。足が不自由な人の介護については、訪問介護だけでなくデイサービスを提供している施設においても同様のことがいえます。つまりは、一般家庭に限定した商品ではないということです。デイサービス施設でも、車いす用階段昇降機があると随分と助かります。街の公民館などの高齢者が多く利用する場所にも、こうした設備があると、車いすを使っている足の不自由な方にとっては非常に便利です。

車いす用階段昇降機を取り入れるには

車いす用階段昇降機があると階段の上り下りが断然楽になりますが、どんな家庭にも設置が可能かどうかは気になるところです。まず気になる点として、階段が木材でも大丈夫なのか、ということが挙げられます。その点については、メーカーによって多少の差や階段の強度の具合により補強が必要な場合もありますが、劣化が激しくなければ、一般的な木製の階段でも大丈夫です。あるいは、木材以外のコンクリートや鉄骨でも取り付けは可能です。また、階段を上ったり下りたりした先にすぐドアがあるという家庭も少なくないでしょう。そのような場合は、車いすが邪魔でドアの開閉が困難になる場合もあるかもしれません。もちろん、ドアの開閉を内側に変更するとかドア自体を撤去するといった方法も検討する必要があります。
さらに、現在では階段はまっすぐ上に上るタイプだけでなく、近頃のデザイン住宅ともなると、階段がグルグルと回るような設計になっていたり、階段の途中に踊り場があるような家庭もあります。特に医療機関や公民館などは、そういったケースが少なくありません。その場合でも車いす用階段昇降機にはいろいろなタイプがあるので、このような複雑な形状の階段にもうまく合わせることができるようになっています。
適したものを設置するためには、まずメーカーに相談をして、実際に家に来てもらって設置が可能かどうかを判断してもらうことが大切です。そしてどのくらいの費用がかかるのか、といった見積もりも必要です。見積もりを取る際には、一つの業者だけでなく、複数の業者に依頼をしましょう。工事内容や料金にも納得して設置するために重要なポイントといえます。